2013 年 22 巻 10 号 p. 786-790
脳腫瘍摘出では機能の温存が重要であり, その機能マッピングには覚醒下手術, 頭蓋内電極による脳皮質電気刺激 (ECS) がある. しかし, ECSは痙攣誘発のリスクや痛みなどを伴う. 近年は脳皮質電位 (ECoG) による機能マッピングの報告があり, 特に高周波律動に注目が集まっている. 今回われわれは, 言語野近傍の脳腫瘍患者において, 頭蓋内電極によりECSマッピングとECoG計測を行った. ECoGは60∼120Hzの高周波律動であるhigh Gamma activity (HGA) に着目した. 文字読み課題で約600msec付近に誘発されたHGAはECSマッピングの側頭葉言語野と一致していた. また, HGAは後頭葉から側頭葉-前頭葉言語関連機能ダイナミクスを表していた. 本症例で施行した認知課題ECoGはECSに代わる脳機能マッピング法となる.