抄録
聴神経腫瘍の手術は, 腫瘍の摘出とともに顔面神経機能や聴機能の温存が求められる. 放射線治療が確立している現在, 手術適応について厳密さを求められるようになっている. 現在, コンセンサスが得られている手術適応は, 脳槽部25∼30mm以上の大きさの腫瘍や嚢胞性の腫瘍, 若い患者の聴力温存目的のケースや成長速度の速い腫瘍であると考えられる. 聴神経腫瘍手術における機能温存のための重要なポイントとして, 外側後頭下到達法, 機能温存のために必ずしも全摘に固執しないポリシー (内耳道内は全摘), 持続顔面神経モニタリング, 内耳道後壁の十分な開放, 腫瘍摘出の7つの進入路, 腫瘍の串刺し, 止血のテクニック等であると考えている.