抄録
深部髄膜腫は, アプローチの選択に加え, 深部静脈, 脳神経, 脳幹等からの剥離操作が機能予後に直結する. 連続293例の髄膜腫手術から深部髄膜腫を抽出しその頻度, 局在, 脳神経機能温存率, 至適アプローチ等に関し後ろ向きに検討した. 視機能障害を有する傍鞍部病変36例における視機能改善率は89%, 半球間裂アプローチ30例における嗅覚温存率は93%, 内耳道内進展を有する聴覚障害9例の改善率は44%であった. 重要構造からの剥離操作のいかんが術後の機能予後を大きく左右するため, 剥離部位を直視下にできるアプローチの選択とそのための術前の詳細な画像検査, 内頚動脈系を含む術前塞栓術, 多段階手術, 腫瘍活性ならびに境界部の病理所見の理解, Simpson grade IV手術など, 考慮すべき点は多い.