過去10年間3施設において, 脳卒中急性期患者のDVT対策として, 弾性ストッキング着用および超音波検査による早期スクリーニングを行ってきた.
DVT非予防群30例とDVT予防群1,063例との比較では, 中枢側DVTの発生率は20%から2.5%へ減少し, 弾性ストッキングによる有意なDVT予防効果 (オッズ比 : 0.10) を認めた. DVT予防群1,063例の施設別DVT発生率の検討では, 中枢側DVTの発生率と看護体制との関連が示唆され, 下腿DVTの発生率は各施設の超音波診断能を反映した. 下腿DVTの経時的変化を観察した51例では, 中枢側へ進展した症例はなく, 下腿DVTは脳卒中患者においては安全な経過をとるものと考えられた.
超音波検査によるDVTスクリーニングの要点は, 中枢側DVTを見逃さないことであり, 下腿静脈の観察は簡略化してもよいと思われる.
抄録全体を表示