抄録
特発性正常圧水頭症 (iNPH) の形態的基準である脳室拡大に付随して, DESH (disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus) と呼ばれる髄液不均等分布が重要視されている. 一方, くも膜細胞で産生されるリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素 (L-PGDS) はiNPHの生物学的マーカーとして有力候補である. 今回, 診断目的で得る髄液中のL-PGDS濃度を評価したところ, DESH症例においてL-PGDSが低値であること, また, L-PGDSが低値であるほど, 脳梁角が狭く, 白質障害および前頭葉機能障害が軽度であることが示された.