2019 年 28 巻 9 号 p. 567-575
外傷性頚髄損傷では, 四肢体幹の機能不全のみならず, 呼吸障害・排泄障害を合併する危険を伴い, ADL・QOLへの影響は深刻である. さらに, 椎骨動脈損傷が合併する場合には, 生命あるいは神経機能予後に大きく影響を及ぼす危険があり, 患者側にとっては受傷早期から最善の治療を受けることが望ましいが, 現実の医療現場では決して容易ではない. 救急現場での対応あるいは治療選択によって, その予後が大きく左右されることを, 医療従事者全体で認識する必要がある. 医療従事者が治療コンセンサスを形成し, さらに解決すべき課題を共有していくことが重要と思われる.