脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
28 巻 , 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集 脳神経外科救急医療
  • 片岡 大治, 中川 俊祐, 髙橋 淳, 髙木 康志, 宮本 享
    2019 年 28 巻 9 号 p. 542-551
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

     くも膜下出血 (SAH) はいまだに死亡率25~50%と予後不良の疾患であり, 再破裂が予後に大きく影響を及ぼすため, 早期診断と適切な初期治療が重要である. 診断の遅れは, 画像検査の未施行, CTでのSAHの見逃しなどで生じ, ときとして致命的な転帰を辿る. 単純CTで診断が難しいケースでは, MRI・腰椎穿刺まで行うことが求められる. 初期治療では再破裂予防のため鎮痛・鎮静・降圧を図るが, 至適降圧目標値や鎮静プロトコールについてのコンセンサスは定まっていない. 重症例では, 頭蓋内圧の管理や心血管系合併症の治療も必要で, 急性水頭症があれば脳室ドレナージを行うことが推奨される. 最近では, 3D-CTAが出血源の同定に用いられることが多いが, 直達術か血管内治療かの選択には, 3D-DSAのほうが有用性が高い.

  • 山上 宏, 田中 寛大, 吉本 武史, 佐藤 徹, 髙橋 淳, 井上 学, 古賀 政利, 猪原 匡史, 豊田 一則
    2019 年 28 巻 9 号 p. 552-560
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

     前方循環系の脳主幹動脈閉塞を原因とする急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法の有効性が, 2015年に発症早期例を, 2018年に発症時刻不明例や発症から時間の経過した症例を対象として証明された. 画像診断に基づく患者選択と, 発症から再開通までの時間短縮が転帰改善に強く影響することが明らかとなっている. 現在, 脳底動脈閉塞例や広範囲の虚血コアを有する症例を対象としたランダム化比較試験や, 血栓回収療法と神経保護薬の併用に関する試験が進行中である. さらに, 血栓回収療法を実地臨床へ広く普及させるために, 脳卒中救急診療体制の確立が重要な課題である.

  • 柳川 洋一
    2019 年 28 巻 9 号 p. 561-566
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

     阪神・淡路大震災の教訓から, 災害拠点病院, Disaster Medical Assistance Team (DMAT), Emergency Medical Information System (EMIS) が整備され, DMATが設立・運営するStaging Care Unit (SCU) を介して自衛隊機やドクターヘリにより被災者を被災地から被災地外へ航空搬送する仕組みが実施されている. これらのシステムにより災害対応がより円滑に実施されてきているが, 問題点も残す. 最近はさまざまな医療団体の医療チームが被災地で医療を提供するようになり, これらをいかにまとめ上げ, 急性期のみならず慢性期までの絶え間ない医療・福祉の提供を被災地に適切に提供するかが大規模災害時の重要な課題となっている.

  • 髙見 俊宏, 内藤 堅太郎, 山縣 徹, 大畑 建治
    2019 年 28 巻 9 号 p. 567-575
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

     外傷性頚髄損傷では, 四肢体幹の機能不全のみならず, 呼吸障害・排泄障害を合併する危険を伴い, ADL・QOLへの影響は深刻である. さらに, 椎骨動脈損傷が合併する場合には, 生命あるいは神経機能予後に大きく影響を及ぼす危険があり, 患者側にとっては受傷早期から最善の治療を受けることが望ましいが, 現実の医療現場では決して容易ではない. 救急現場での対応あるいは治療選択によって, その予後が大きく左右されることを, 医療従事者全体で認識する必要がある. 医療従事者が治療コンセンサスを形成し, さらに解決すべき課題を共有していくことが重要と思われる.

温故創新
症例報告
  • 柴垣 慶一, 河合 辰典, 重川 誠二, 西崎 統, 松井 誠司
    2019 年 28 巻 9 号 p. 578-583
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

     悪性神経膠腫の脊髄転移を発症した39歳の男性. 右小脳半球に4cm大の初発病変を認め, 膠芽腫 (WHOグレードⅣ) と診断した. 初発から2年後, 臀部痛と歩行障害が出現し, 全脊髄MRIで脊髄転移を認めた. 手術で膠芽腫 (WHOグレードⅣ) と診断した. 術前は重度の両下肢対麻痺で歩行困難であり, サイバーナイフおよび2週間ごとのbevacizumab投与を施行した. 両下肢対麻痺はサイバーナイフ照射2日後から改善を認め, 2カ月後には独歩で退院した. 悪性神経膠腫の脊髄転移に対する標準治療は確立されておらず, サイバーナイフを含めた集学的治療が悪性神経膠腫の脊髄転移の生存期間を延長する一助となる可能性がある.

イラストであらわす手術記録
feedback
Top