2020 年 29 巻 10 号 p. 726-734
びまん性脈絡叢過形成, 脈絡叢乳頭腫は, 主に小児期に進行性水頭症を契機に発見される脈絡叢良性疾患である. 症例は出生前より進行性水頭症を指摘された男児. 胎生38週, 帝王切開術にて出生した. 水頭症増悪に対し, 生後1カ月で大槽-腹腔シャント術を施行したが, 頭皮下髄液貯留, 進行性腹水増加, 陰囊水腫という髄液産生過多状態を示唆する所見を認めた. 生後6カ月に内視鏡下右脈絡叢焼灼術を施行し, 臨床経過と病理所見からびまん性脈絡叢過形成と診断した. 術後数カ月は髄液貯留の改善を認めたものの, 再度悪化傾向となったため, 生後11カ月に, 侵襲は大きくなるが可及的に髄液産生量を低下させるため, 顕微鏡下に左脈絡叢摘出術を行い, 髄液産生量をコントロールすることができた. 両側びまん性脈絡叢過形成はまれであり, 自験例を含めこれまでの報告と併せてレビューする.