2020 年 29 巻 12 号 p. 837-844
脳出血に対する外科的治療法はさまざまな方法があるが, 問題は外科的治療がどの程度予後に寄与しているのかが判明していないことである. MISTIE Ⅲの結果では術後血腫量が著明に減少した場合は予後良好例が有意に上昇している. この事実から低侵襲に急性期に血腫を減少させる外科手技は予後の改善に寄与しており, 近年発達してきた低侵襲手技である神経内視鏡手術の有用性が期待できる. 被殼出血などの脳実内出血に対して硬性鏡を用い, 側脳室三角部や第三脳室後半部の血腫に対しては軟性鏡で摘出し, 閉塞性水頭症併発症例には第三脳室底開窓術を追加することもある. 今後は脳高次機障害を含む予後評価や新たな止血手技の開発が待たれる.