2020 年 29 巻 9 号 p. 619-624
遠隔医療とは, 双方向性の情報をもとに遠隔地の患者に対して行われる医療行為である. 日本では地方や僻地などの地域医療の充実の観点から重要とされる. 脳神経外科領域では急性期脳卒中診療の適正化が報告されている. 今後の通信技術の発展次第では, 高品質情報をリアルタイムに共有して治療手技も転送できるようになり, 地方での夜間, 休日などの医療資源が手薄になる状況下や高い専門性が要求される疾患治療でも, 都市部の豊富な医療体制を再現できるようになるかもしれない. ただし, 医療のもつ不確実性に由来する課題は残るため, 遠隔医療の導入と運用に際しては, 責任の所在などについて当事者間で調整することが重要である.