脳神経外科ジャーナル
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重症頭部外傷患者管理における30°頭位挙上の有用性 : 特に頭蓋内コンプライアンスの低い症例において
吉川 成哲佐藤 潔Anthony Marmarou
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1994 年 3 巻 6 号 p. 515-521

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抄録
ICP(頭蓋内圧)亢進をみる重症頭部外傷患者の管理に際し,CPP(脳灌流圧)を正常範囲内に維持しつつICPを下降せしめることは重要な事項である.この問題と関連して,患者の体位を頭部を含め水平位とするか,あるいは頭位を30゜挙上すべきかをICPとCPPの測定から比較検討した.GCS8以下の重症頭部外傷患者21例を対象とした.ICP,血圧そしてCPPは頭位挙上で有意に低下した.しかし測定回数32回のそれぞれを分析すると,CPP上昇が12回,同下降が20回であった.CPP上昇群と同下降群の水平位におけるPVI (Pressure Volume Index) を比較したところ,CPP上昇群でPVIが有意に低かった.一般に頭位挙上はCPPの低下を招くとされてきたが,PVIが低い状態では頭位挙上はICPの下降とCPPの上昇を招来することが明らかにされた.
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© 1994 日本脳神経外科コングレス

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