2023 年 32 巻 2 号 p. 82-90
動脈瘤クリッピング術はほぼどのような形状の囊状動脈瘤にも対応できることが大きな利点である. 今後の開頭術に求められることは血管内治療に不向きな, もしくは治療不成功の動脈瘤に対して, たとえ深部であっても動脈瘤周囲の解剖学的構造を確実に視認, 剝離できるだけの十分なアプローチを周囲構造を破壊することなく行うことができること, さらに必要な血行再建を容易に行うことができる術野を確保し治療を完遂することである. そのためには動脈瘤各部位に対する到達法の選択肢を知りその引き出しを多くもつことが重要である.
代表的な到達法である前半球間裂到達法と経シルビウス裂到達法およびその変法で治療可能な動脈瘤について詳述する.