抄録
症例は, 側彎症による背部痛を訴える16歳の男性で, 頭部および頸部MRIの結果, 脊髄空洞症を合併したChiari奇形第1型と診断された.後頭下開頭と第1, 第2頸椎椎弓切除, 硬膜形成を行ったところ, 徐々に背部痛は消失した.術後の頭部MRIでは, 小脳扁桃の下垂が改善して大槽が拡大したことが確認された.6カ月後には側彎症も改善し, 9カ月後の頸部MRIでは空洞の縮小をみた.大孔部の減圧によって, 髄液循環が促進され空洞による脊髄の圧迫が緩和し, 傍脊椎筋群の不均衡が是正されて側彎症も改善したものと思われる.本症例では, 空洞クモ膜下腔シャント術の追加は必要としなかった.