抄録
本研究の目的は,競合と自動的な反応の活性化の抑制との関係を明らかにすることである.14名の実験参加者は単語刺激(‘ひだり’,‘みぎ’)の表示色に対してボタンを押し分ける課題に取り組んだ.課題に関連のない刺激属性(刺激の呈示位置と単語の意味)は参加者が反応すべき位置と一致する場合と競合する場合とがあった.われわれは競合の量が異なる3つの刺激条件を設定した.競合なし条件では,刺激の呈示位置も単語の意味も反応すべき位置に一致した.小競合条件では,単語の意味だけが反応すべき位置と競合した.大競合条件では,刺激の呈示位置と単語の意味の両方の刺激属性が反応すべき位置と競合した.自動的な正反応の活性化の促進効果が反映される競合なし条件における反応時間は,前試行における競合の量が大きいほど増加した.自動的なエラー反応の活性化が反映される大競合条件におけるエラー率は前試行における競合の量が大きいほど減少した.これらの結果から,競合の検出処理は競合の量に基づいて自動的な反応の活性化の抑制を調節していることが示唆された.