認知心理学研究
Online ISSN : 2185-0321
Print ISSN : 1348-7264
ISSN-L : 1348-7264
原著
統合失調症における非情動的・情動的情報に対する選択的注意機能の検討
室井 みや笠井 清登植月 美希管 心
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 4 巻 2 号 p. 65-73

詳細
抄録
ストループ課題および情動ストループ課題を用いて,統合失調症における情動的情報,非情動的情報に関する選択的注意機能について検討を行った.その結果,ストループ課題において,統合失調症者では不一致条件と中性条件の反応時間の違いは有意ではなかったが,統制群に比べて,不一致条件と中性条件の誤答率の違いは大きかったことから,無関連情報の処理を抑制する機能が低下していること,課題要求の保持が難しいことが示された.
また,情動ストループ課題では,単語の種類による反応時間の違い,誤答率の違いは全体として有意ではなかったことから,情動的情報の認知機能障害は,情動的情報への注意バイアスによるものではなく,情動的情報に関する処理機能自体が低下しているためである可能性が示された.
著者関連情報
© 2007 日本認知心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top