日本大腸肛門病学会雑誌
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主題I:大腸癌に対する化学療法の進歩と最近の話題
VI.進行再発大腸癌に対する新規分子標的薬の開発
高橋 孝夫松橋 延壽吉田 和弘
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2018 年 71 巻 10 号 p. 417-424

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抄録

本邦にて大腸癌に用いる分子標的薬としてベバシズマブ(抗VEGF抗体薬),セツキシマブ/パニツムマブ(抗EGFR抗体薬),そしてレゴラフェニブ,ラムシルマブ,アフリベルセプトが使用されている.Precision Medicineにて,各遺伝子異常をターゲットとした新規分子標的薬の開発が進んでいる.大腸癌に関しては,特にHER2とBRAFを標的としたHER2,BRAF,MEKに対する分子標的薬の有効な結果がでている.HER2陽性KRAS野生型大腸癌に対してHER2の2重ターゲット療法が有効な治療であることが報告された.また,BRAF V600E遺伝子変異陽性大腸癌に対し,BRAF阻害剤+抗EGFR抗体薬+MEK阻害剤の3剤併用療法が有効であることが報告された.遺伝子異常別にそれらを標的とした治療の開発が今後更に進み,個々の患者にあった個別化治療を行うことで,更なる治療成績の向上を期待したい.

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© 2018 日本大腸肛門病学会

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