2018 年 71 巻 5 号 p. 211-215
症例は80歳,男性.18年前に左側進行横行結腸癌に対し左半結腸切除術施行.数年前から下血を認め,いずれも吻合部静脈瘤からの出血が疑われたが,保存加療にて改善した.今回腰椎圧迫骨折にて整形外科入院時に下血があった.内視鏡にて観察を行ったが,あきらかな出血点は指摘できなかった.その7日後に再度下血を認めた.内視鏡的な止血は困難と判断し,手術目的に当科紹介となった.術中内視鏡にて静脈瘤を確認し前回手術時の吻合部を含めた結腸部分切除術と横行結腸単孔式人工肛門造設術を施行した.患者には門脈圧亢進症は認められず,吻合操作により血流障害が生じたものと考えられた.下部消化管吻合部の晩期合併症としては極めて稀と考えられ,文献的考察を加えて報告した.