1975 年 28 巻 4 号 p. 314-321,393
1962年より1974年までの間に国立がんセンター外科において切除された349例の単発性直腸・肛門管癌(扁平上皮癌は除く)症例を対象として,原発巣の諸因子とリンパ節転移の関係,およびリンパ節転移に関連した根治手術後の遠隔成績について検討を加えた.
リンパ節転移は51.8%の症例に陽性で,腫瘍占居部位別の転移率には差を認めない.また転移経路を上方と側方に分けると,上方転移は口側に近い腫瘍ほど高率で,側方転移は逆に肛門側に近い腫瘍ほど高率どなる.全症例の13.4%に側方転移を認めている.その他,腫瘍の占居部位別の各リンパ節群への転移状態,壁在性と側方転移の関係,深達度および大きさと転移率の関係なども検索した.
また我々の根治手術後の5生率はover allで51.5%であるが,リンパ節転移陰性群では62.5%,陽性群では26,8%である.その他,Astler分類別.およびリンパ節転移陽性個数別による予後についても検討した.