1975 年 28 巻 4 号 p. 322-326,393
大腸ポリープ・ポリポージスは癌との鑑別,癌化率・癌合併率の高さからも,前癌病変の一つとして臨床的,病理学的にも注目されている.下血を主訴とする35歳・男性の大腸にビ漫性に897個のポリポージスが発見され,直腸を温存して大腸亜全摘術がなされたが,残存直腸ポリープの治療の目的で95%エタノールによる内視鏡的直視下局注法によるポリペクトミーがなされた.本法は近年普及しつつある高周波電気メスによるポリペクトミーと異なり,ポリープの回収は出来ないものの,適切な操作で安全になしうるうえ,人工潰瘍の修復も比較的速やかであることからも,対象の選択によっては有用な内視鏡的治療法の一つであると考えられる.