日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸の早期癌の基準に関する私見
梶谷 鐶
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1975 年 28 巻 4 号 p. 327-330,394

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抄録

癌研附属病院の1946~73年の治癒切除,単発大腸癌820例中,粘膜癌,粘膜下層癌は37例である.粘膜癌19例,粘膜下層癌18例である.粘膜下層癌の1例にリンパ節転移を認める.13例は径2.0cmを越えている.有柄又は無柄の隆起性の癌がm,sm癌の特徴である.5生率は100%であった.
Dukes A群は治癒切除例の17.8%に認められ,その5生率は93.6%であった。Dukes Aは早期の癌と云える.しかしこの分類はSurgico-pathologicalなもので,Dukes Aの鑑別は臨床的にははなはだ困難である.臨床的に癌の大きさを測定することははなはだ簡単である.径2.0cm以下の癌は大部分がm,smの癌に属し,5生率は100%である.しかしm,smの癌の中には径2.0cmを越える腫瘍が少なくない.しかも予後は良好なのである.
m,sm癌は組織学的に診断されなければならないが,臨床的にも略推定できる.m,sm癌は大腸の早期癌の基準に適切である。しかし臨床的に明らかな転移例は除かるべきである.

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