日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸の腺腫と早期癌
武藤 徹一郎松丸 清神谷 直治堀江 良秋石川 浩一
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1975 年 28 巻 4 号 p. 339-344,395

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抄録

腺腫および腺腫由来と考えられる癌の組織学的検索から,大腸の腺腫と早期癌の関係を検討した.腺腫を母地にして大腸癌が発生することを示唆する所見は少なくないが,その中でも最も有力な証拠と考えられるものは,粘膜内に限局する癌のほとんどすべてが,腺腫内に見出されたという所見であろう.癌の進展に伴って母地である腺腫は癌によって置換され,母地の証拠は消滅してしまうと考えられる:腺腫の中に起こるであろう癌化というプロセスも決して格一的なものでなく,個々の腺腫,組織型の違いにより差があるものと推察された.
内視鏡的に摘除した100個の腺腫の中に18個の早期癌を認めたが,この中少くとも16個は腺腫内の癌であった.内視鏡的ポリープ摘除は,臨床的に有用であるばかりでなく,大腸癌の発生母地を知るうえでも有用であると考えられる.

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