大腸早期癌症例39病変中,術前注腸X線検査を施行した34病変の病理肉眼所見から有茎性,亜有茎性,広基性,潰瘍形成性の4型に分け,その大きさと深達度につき検討した上で,大腸早期癌のX線診断につきまず存在診断の精度,問題点につき述べ,さらに質的診断の可能性につき検討した.良性疾患との鑑別として良性ポリープ59病変と対比してみた.型別にみると有茎性病変において鑑別がとくに難しい。亜有茎性,広基性のものは病巣の大きさからある程度の鑑別は可能である.表面の凹凸像は組織型との関連はあっても良悪性の判定には関連性は乏しい.次に深達度と関連して,早期癌と隆起型進行癌23病変との鑑別につき検討した.有茎性のものは大部分が粘膜癌で,広基性の病変は25mm以上のものは進行癌であり,表面に潰瘍形成のみられるものは大部分進行癌である.この意味から隆起の表面の性状を詳細に描出することは重要である.