日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸早期癌の治療方針について
高橋 孝S. Yamada
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1975 年 28 巻 4 号 p. 369-372,399

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抄録

大腸早期癌の定義は未だ定ってはいない.しかし,大腸癌の進展形式のうちの一つである深達度をとり上げて,深達度m.smまでのものを早期大腸癌とする傾向にある.実際の臨床にあって深達度m.smの癌として診断をくだすには,病変の形態と大きさとからその病変の深達度を推測しなければならない.すなわち,形態では茎の有無,中央陥凹の有無,大きさでは最大径2.0cmを境とすることによっで,m.sm癌の頻度がかなり高率に推測しうるわけである.したがって,大腸のm.sm癌の治療方針を考える場合においても,まず,その病変の形態と大きさとを正しく認識し,この二つの状態を組み合わせることによって,病変を分類し,そのおのおのについて治療方針を考えることが必要である.このように考えることによって,良性病変との鑑別からm.sm癌の治療までが一貫として行われうる.もう一つの進展形式であるリンパ節転移の確率をも考慮することは勿論である.

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