日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸癌に対する括約筋保存術式と再発吻合部再発を中心として
小平 進小山 靖夫北條 慶一池田 栄一広田 映五
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1977 年 30 巻 2 号 p. 102-109,181

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抄録

過去約13年間に直腸癌に対して行った括約筋保存術式63例について,その予後,および再発(主として吻合部附近の局所再発)の実態を中心として検討した.
本術式63例の粗累積5生率は78.4%で,直腸切断術225例の5生率47.1%に比し良好である.
63例中9例(14.3%)に吻合部再発がみられた.吻合部再発例は腫瘍の位置が肛側に近いものに多少多い傾向をみたが,リンパ節転移との関連性は認められなかった,腫瘍下縁と肛側断端の距離(AW)と再発との関連性は必ずしも一定の関係を見出せないが,この関係を腫瘍の種々の因子(肉眼分類,大きさ,深達度)について検討すると,多少の関連性が示唆され,AWの安全域としては,腫瘍の大きさが3cm以上のもの,深達度がpmを越えるものではAWを4.1cm以上必要と考えられる.
また吻合部再発例の治療,本術式の適応についても言及した.

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