日本大腸肛門病学会雑誌
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肛門手術後治癒遷延例に対する臀部絆創膏牽引療法
内田 満国坂口 潮
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1977 年 30 巻 2 号 p. 110-112,182

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抄録

痔核,痔瘻などの,いわゆるminor ano-rectal surgery後の肛門部創は開放性に処置して肉芽組織による二次的治癒を計るのが原則とされているが,開放創の治癒には長時日を要する,ことに肛溝anal cleftでは両側臀部が相接しているため,この部の開放創は絶えず機械的刺戟を受け,また創ドレナージが阻害されやすいことなどから治癒が遷延しがちである.
痔瘻手術後約4カ月半にわたって肛溝に沿った皮膚開放創の治癒が遷延していた19歳の女性において,両側の前腸骨棘に固定した絆創膏で両側の臀部を常時,左右に牽引して肛溝を開くようにしたところ,15日という短時日で開放創の完全治癒をみた.
本法は,極めて簡単な手段で肛門部開放創の安静を保ち,創ドレナージを良好ならしめることによって,肛門部手術後開放創の治癒を促進する有効な方法であると考えられる.

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