日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌の臨床病理学的変遷
池田 孝明池 秀之堀 雅晴高橋 孝
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キーワード: 大腸癌, 疫学
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1984 年 37 巻 5 号 p. 597-602

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抄録

1950年より79年までの30年間に癌研外科にて手術した単発大腸癌1389例を対象とし, 大腸癌の臨床的病理学的変化を検討した.大腸癌の発生頻度は近年増加しており, 特にS状結腸癌の増加が著しく, 今回の手術症例の検討においても同様の結果であった.S状結腸の部位にポリープおよび癌の発生率が高くなり, 直腸癌の頻度が相対的に低下してきたものと考えられる.組織学的には結腸癌, 直腸癌ともに粘液癌の頻度が低下傾向にあり, 粘液癌には高分化型腺癌と比較し, ポリープの合併率が低い傾向にある.近年大腸癌を増加させている要因としては食生活の変化が大きな比重を占めると思われるが, これらの要因は高分化型腺癌の発生をもたらしやすいと考えられる.上行結腸癌の相対的頻度は減少しているが, ポリープの合併率が上昇していること, アメリカ, カナダでの上行結腸癌の頻度の増加を考えあわせると日本においても頻度が上昇してくる可能性があると思われる.

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