1988 年 41 巻 3 号 p. 278-282
大腸ポリープに対する内視鏡的治療法として高周波電流を用いた内視鏡的ポリペクトミーが広く臨床に普及しているが,最近,筆者らは新しい手技を応用して,その治療の可能性について検討を行った,すなわち上部消化管出血に対する非観血的・内視鏡的治療法として開発されたヒートプローブ法を用いて,大きさ7×7mmの直腸ポリープの焼灼を行った.その結果,300ジュールの熱量によって完全に,かつ安全にポリープを焼灼することができた.焼灼潰瘍の治癒日数は3週間であり,後日行った切除大腸の病理組織学的検索でもU1,IIの潰瘍瘢痕であり,筋層には焼灼による影響は認められなかった.本法は手技が容易であり,腸管に与える損傷も少ないことから,適応を選べば有効な大腸ポリープの治療法になるものと強調された。