日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸リンパ管腫の2例
永井 裕司池原 照幸加藤 保之大平 雅一金 光司山本 嘉治新田 敦範前田 清奥野 匡宥曽和 融生田中 純一
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1992 年 45 巻 2 号 p. 228-233

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抄録

大腸リンパ管腫は比較的稀な疾患である.今回,われわれは内視鏡的に診断しえた2例の大腸リンパ管腫を経験した.症例1は51歳,男性で,脾彎曲部に13mm大のX線透過性の良いポリープを指摘された.大腸内視鏡ではcushion sign陽性の表面平滑な白色調亜有茎性腫瘤で,内視鏡的には大腸リンパ管腫と考えられ,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.組織学的には海綿状リンパ管腫であった.症例2は50歳男性で,横行結腸に35×35mm,半球状の表面平滑な粘膜下腫瘍様の内視鏡所見を呈したが,周囲とくらべ透明感があった.cushion sign陽性で,生検鉗子にて穿破したところ,透明な液が流出し,隆起は消失し,リンパ管腫が疑われた.大腸リンパ管腫は良性疾患であり,本症を念頭においた注意深い観察により,術前診断も可能となり,合併症さえなければ内視鏡的にポリペクトミーや穿刺吸引あるいは経過観察で良いと思われた.

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