日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
術後成績からみた成人痔瘻の括約筋温存術, 筋弁形成術および乳児痔瘻に対する絹糸seton開放術の評価
小杉 光世
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 49 巻 10 号 p. 1169-1181

詳細
抄録

痔瘻手術は括約筋温存術式を基本に根治性を追求している. 「原発巣の除去」を基本的理念に部位別, 痔瘻型別に症例に応じた術式を選択してきた. 前側方低位筋間痔瘻で3種の括約筋温存術式を行った. 複雑型痔瘻には括約筋損傷の軽微な後方浅外括約筋弁形成術, 後方低位筋間痔瘻は根治性が高く変形例はあっても術後機能障害が少ない理由で開放術式を採用した. 低位筋間痔瘻全体の再発率は3.4%であった. 隅越法, 瘻管くり抜き法はそれぞれ4.7%, 11%再発し皮弁被覆法で処置し治癒した. 2.3%再発の皮弁被覆症例はシートンで処置した. 筋弁形成術の再発率はIIH3.1%, IIIU4.3%, III+IIH4.0%, IV型25%で152例中6例3.5%が術後再発した. 乳幼児および小児痔瘻の手術成績は良好であった. 再発例は, 原発巣誤認および原発巣除去不十分など技術的要素が主因で術式による有意差はなかった.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top