日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸・S状結腸早期癌に対する腹腔鏡下前方切除術
遠藤 正章森田 隆幸羽田 隆吉中村 文彦伊藤 卓清藤 大小堀 宏康袴田 健一吉原 秀一山中 祐治今 充
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1996 年 49 巻 2 号 p. 83-94

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抄録
早期癌を対象とした腹腔鏡下前方切除術について報告した.手術は気腹下に行った.下腸間膜動脈は原則としてS状結腸動脈と上直腸動脈の分岐部の中枢側で切離した.腸管の切除・吻合は, 直腸を病変の肛門側で切離して体外で腸管切除, anvil挿入を実施し, 腹腔内でdouble stapling techniqueにより器械吻合する体外法と, すべての操作を腹腔内で実施し, 切除腸管も経肛門的に摘出してtriple stapling techniqueによる器機吻合を実施する体内法の2つの方法で行った.上記手術を6例 (早期直腸癌3例, 早期S状結腸癌3例) に実施した.全例で腹腔鏡手術を完遂し得たが, 1例では追加切除を要した.手術時間は, 3時間45分~5時間35分 (平均4時間45分) であった.重大な術中・術後合併症はなかった.2例では鎮痛剤の投与を必要とせず, 術後の疼痛は軽微であった.本手術は, 早期癌に対する安全かつ確実な低侵襲手術として有用と思われた.
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