日本大腸肛門病学会雑誌
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本邦における大腸癌同時性肝転移に対する治療の現況
全国アンケート調査結果(第47回大腸癌研究会)
河原 正樹北條 慶一
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キーワード: 大腸癌, 同時性肝転移
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1999 年 52 巻 2 号 p. 107-118

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抄録

大腸癌の同時性肝転移に対する本邦での治療の現況を明らかにするため,大腸癌研究会に所属する全国の主要施設にアンケート調査を行った.転移程度別にいかなる治療方法が有効であるのかを明確にすることを目的とした.H1,H2,H3のすべてのステージで外科的切除が最も有効であった。H2,H3症例では動注化学療法も有効であった.全身化学療法,TAE, PEIT, MCTのそれぞれ単独での有効性や切除後の補助療法としての動注療法の有効性は立証できなかった.H1症例では転移個数と腫瘍径が,H3では腫瘍径がハザードに影響を与えていた.このアンケート調査結果を踏まえ,将来的にプロジェクト研究としてさらなる症例の蓄積と詳細な検討を行い,肝転移の総括的な研究が前進することが重要なことであると思われる.

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