日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌における接着分子β1インテグリンの検討
血中レベル定量および免疫組織染色について
曽山 鋼一斎藤 登亀岡 信悟
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1999 年 52 巻 2 号 p. 119-127

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抄録

多種多様のインテグリンのうち,β1サブユニットの多くは、上皮細胞の細胞外基質蛋白の受容体として機能し,大腸癌の浸潤,転移において重要な役割を果たしていると考えられている.今回,教室での大腸癌術前症例86例を対象に血清β1インテグリン値測定を行い,うち63例に免疫組織インテグリン染色を同時に施行し,大腸癌の進行度について検討した.その結果,癌の深達度(p=0.0024)リンパ節転移(p=0.0415),リンパ管侵襲(p=0.0002),病期(p=0.0142)において,いずれも進行するにつれ血清インテグリン値が低下した.またインテグリン染色においても深達度(p=0.0021),リンパ節転移(p=0.0001),リンパ管侵襲(p=0.0003),病期(p=0.0001),静脈侵襲(p=0.0266)が進行するにつれ低染色性を示した.接着分子β1インテグリンの血清値測定および免疫組織染色が大腸癌の進行度の評価において有用であると考えられた。

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