日本大腸肛門病学会雑誌
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ホルマリン治療が著効した放射線性出血性大腸炎の2例
家接 健一小杉 光世中島 久幸酒徳 光明伴登 宏行春原 哲之
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1999 年 52 巻 2 号 p. 144-149

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抄録

放射線性大腸炎は時に難治性の出血をきたす.今回著者らは,放射線性大腸炎による出血に対して4%ホルマリンを使用し,止血し得た2症例を経験したので報告する.症例1は80歳の女性.低分化扁平上皮癌型の総排泄腔由来癌に対し放射線治療を受け,16か月後,出血性直腸炎を併発した.ステロイドの注腸,内視鏡的レーザー治療を行ったが止血できず,ホルマリン治療を行ったところ下血は消失した.症例2は47歳の女性.乳癌末期患者で,腰椎,仙骨の骨転移に対し放射線治療を受け,15か月後,S状結腸下部に出血性大腸炎を併発した.ホルマリン治療を3回施行し,止血し得た.本法は簡便で侵襲が少なく,S状結腸下部や直腸の放射線性出血性大腸炎に対し有用な治療方法と考えられた.

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