日本大腸肛門病学会雑誌
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痔瘻を契機として発見された肛門管穎粒細胞腫の1例
塩谷 猛渡辺 秀裕渋谷 哲男小熊 将之内山 喜一郎松本 光司田中 茂夫
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1999 年 52 巻 2 号 p. 150-155

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抄録

顆粒細胞腫は全身の臓器組織に発生するSchwann細胞由来の良性腫瘍といわれており,とくに舌,皮膚などが好発部位である.消化管での発生報告は少なく,食道に散見されるが,大腸では珍しく,肛門での発生はさらに稀である.今回われわれは肛門管に発生した顆粒細胞腫を経験したので報告する.症例は50歳,男性.原発口が肛門12時方向で前方陰嚢方向の二次口へ向けてまっすぐのびる痔痩があり(隅越分類のII Ls),同時に原発口に隣接するdentate line直下の肛門管に1cm大の表面平滑な堅い結節を認めた.痔痩をcoring outした後,粘膜下の結節も摘出した.この結節はH・E染色では細胞質に好酸性の顆粒を有する細胞から構成され,免疫組織染色でS-100蛋白,NSE陽性の顆粒細胞腫であった.腫瘍は薄い線維性被膜で境されており完全切除されていた.顆粒細胞腫は一般に良性腫瘍とされるが,浸潤性発育を示す報告もあり,切除が第一選択と考える.

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