抄録
脊椎疾患では,排便機能障害が出現し日常生活の障害となることがある.そこで,仙骨部腫瘍の患者において,手術時の脊髄神経根欠落による排便機能への影響について,直腸肛門内圧検査,臨床症状より検討した.手術前後に内圧検査と排便状態についてアンケート調査を実施した仙骨部腫瘍患者4例を対象とした.性別は男女各2例で,平均年齢は40歳であった.疾患は神経鞘腫,脊索腫各2例で,手術による神経根切離部位は,L5以下切離,両側S2,3,4切離,片側S2,3切離,神経根温存であった.両側脊椎神経根を切離された症例でも,内肛門括約筋機能はある程度保たれるが,機能には限界があり,個人差もあると思われた.外肛門括約筋機能は,片側脊椎神経温存で保たれるが,知覚機能には両側脊椎神経根温存が必要と思われた.