日本大腸肛門病学会雑誌
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MRIが診断に有用であった深在嚢胞性大腸炎型の直腸粘膜脱症候群の1症例
安井 昌義柳生 俊夫岸渕 正典遠藤 省三
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2000 年 53 巻 7 号 p. 441-445

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抄録

症例は33歳,女性.1カ月前より粘血便.排便時間の延長,排便時の直腸粘膜の脱出を自覚.初診時直腸診で肛門縁より4cmの前壁中心に径3cmと2cm大の半球状,弾性硬で表面平滑な隆起を触知.大腸内視鏡検査で同部に2つの粘膜下腫瘍様の隆起を認め,その隆起の間には類円形のpunched-out様の潰瘍を認めた.骨盤MRI検査では腹膜翻転部の直腸前壁に径5cmの多胞性の腫瘤を確認.内視鏡下生検の病理組織像では,粘膜固有層にfibromuscular obliterationを認め,大きな嚢胞成分を持つ深在嚢胞性大腸炎型の直腸粘膜脱症候群と診断した.以後,緩下剤の投与と排便習慣の改善を指導することにより自覚症状は消失した.しかし,1年7カ月目の大腸内視鏡検査では粘膜面の潰瘍は治癒していたが,粘膜の隆起は残存し,MRI検査でも嚢胞の大きさには変化はなく経過観察中である.

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