抄録
患者は75歳女性.平成8年9月,便潜血反応陽性にて近医受診し,S状結腸巨大憩室症と診断されたが放置していた.平成9年10月,再び便潜血反応陽性を指摘され,また下腹部鈍痛も出現してきたため当科を紹介受診した.画像所見では,腹部単純X線において下腹部に直径約5cmの円形のガス像を認め,注腸によりS状結腸巨大憩室症と診断した.下部消化管内視鏡では憩室口は確認できなかった.術中所見は,大網,小腸,左卵巣と強固に癒着した直径7cmの嚢胞様の憩室を,S状結腸ほぼ中央に認め,S状結腸切除術を施行した.病理組織学的診断では,憩室壁は筋層を欠き偽性憩室の所見であった.