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速報論文−第58回材料と環境討論会−
中型CBB試験によるAlloy182/低合金鋼界面での応力腐食き裂停留挙動の調査
榊原 洋平中山 元平野 隆
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2012 年 61 巻 4 号 p. 171-176

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抄録

Alloy182/低合金鋼(LAS)界面における応力腐食き裂の挙動を調査するため,板厚が10 mmの試験片を用いた中型CBB試験を高温酸素富化環境にて行った.純水環境(ループ入口で0.1 μS/cm以下)にて平滑試験片を用いた場合,Alloy182側で発生した応力腐食き裂の先端ではLAS側において球状酸化物の形成のみ見られ,き裂状のままでの進展は観察されなかった.一方,0.3 μS/cm に調整したNa2SO4添加環境ではAlloy182側より発生した応力腐食き裂はLAS側に巨視き裂として進展していた.このときAlloy182側である試験片表面ではき裂は板幅方向に貫通しており,き裂が界面に到達した際に高い力学条件が得られたため巨視き裂としてLAS側に進展したと推測した.ノッチ付試験片では純水環境において,き裂状のままLAS側に侵入するケースが認められた.また,球状酸化物も見られた.以上の観察に基づいてLAS側へのき裂侵入深さならびに球状酸化物径をAlloy182側の深さで整理すると,Alloy182側の深さが大きくなるにつれ,LAS側での侵入深さ,酸化物径が大きくなる傾向があった.また,き裂形態に及ぼす付与ひずみの影響,試験片採取方向の影響を調査したが,いずれも大きな影響を及ぼさなかった.

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© 2012 公益社団法人 腐食防食学会
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