抄録
吸収式冷凍機では構造材を腐食させないように,吸収液すなわち濃厚LiBr水溶液中のインヒビター濃度,とりわけモリブデン酸塩濃度を適切に管理することが必要である.従来行われている化学分析に基づく濃度管理法に代わる方法として,本研究では吸収液中のモリブデン酸塩濃度を電気化学的にその場評価する方法が検討された.グラッシーカーボン電極上においてモリブデン酸イオンが還元され,その濃度に依存するカソード電流が得られた.カソード分極において酸化モリブデン(IV)が析出し,その量は引き続きアノード分極を行うことで評価できる.本研究で例示したいくつかの電気化学的手法を用いることによって,グラッシーカーボン電極上でのモリブデン化学種の酸化還元挙動に基づいて,実際の吸収式冷凍機中のモリブデン酸塩濃度をその場管理できると考えられる.