抄録
304ステンレス鋼の表面,L断面(圧延平行)およびT断面(圧延直角)の孔食発生挙動に及ぼすS含有量の影響を明らかにするため,7,29および57 ppm Sを含有するt 25 mm厚板を試験片として,0.85 M NaCl水溶液による塩乾湿複合サイクル腐食試験(CCT)およびアノード分極測定を行った.CCTでは,T断面の発銹が,表面やL断面に比べて多い傾向にあったが,S量低減によりT断面の初期発銹は抑制されることがわかった.pH 7のNaCl溶液の場合,T断面の孔食電位(Epit)は,57 ppm S材で表面やL断面に比べてやや卑であったが,S低減にともない上昇した.一方,pH 1のNaCl溶液の場合,T断面のEpitはS量によらず低い値を示した.さらに,T断面においてMnS介在物を起点として発生したピットの断面形状を調べたところ,母材内部に伸びたMnS介在物とそれに沿って孔食が進展した様子が観察された.