2016 年 65 巻 1 号 p. 20-23
コンクリート内を模擬したアルカリ環境において,PC鋼材を用いて不働態から脱不働態の遷移状態での不働態皮膜の特性を明らかにして,脱不働態化の新しい予測手法を提案した.アルカリ環境に浸漬したPC鋼材の自然浸漬電位の経時変化では,腐食の有無の評価は可能であったが,不動態皮膜の経時劣化に関する情報は得られなかった.電気化学インピーダンス測定の経時変化では,低周波数側の抵抗の減少に基づき脱不働態化を予測できることが示された.本試験条件では、皮膜抵抗値が2.0MΩ・cm2未満で脱不動態化を生じる可能性が示された.また,分光エリプソメトリーにより,この低周波数側の抵抗は不動態皮膜の厚さと相関があることを確認した.