材料と環境
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論文
海水中における鋳鉄の流速差腐食機構の考察
宮坂 松甫
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2018 年 67 巻 3 号 p. 127-131

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抄録

海水中において鉄の腐食は流速の上昇とともに増大するが,流速分布が存在する場合,流速差によるマクロセルが形成され,低流速部の腐食が助長され,高流速部の腐食が抑制されることによって,前者が後者を上まわる場合がある.この現象は流速差腐食と呼ばれ,通気差腐食(酸素濃淡電池腐食)の一形態であると考えられる.著者は,内部アノード分極曲線の流速依存性を検討することによって流速差腐食機構を考察した.海水中において流速と電位を変えて鋳鉄の腐食実験を行い,腐食速度から内部アノード分極曲線を導いた.内部アノード分極曲線は流速の上昇とともに貴側へ(低電流密度側へ)移動することを確かめ,これまで鋳鉄・鋼など鉄系材料の通気差腐食および流速差腐食を説明するために提案されていた仮説を実証した.

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© 2018 公益社団法人 腐食防食学会
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