2019 年 68 巻 6 号 p. 148-151
30 mass%硫酸溶液中におけるニオブの電解研磨挙動について,三電極式セルを用いてNbの電位を制御し,パルス時間の影響を調査した.電位パターンはカソードパルス(-3 V,tc),アノードパルス(+1 V,ta)及び休止時間(0 V,1 ms)から構成された.tcとtaの様々な組み合わせで試験した結果,研磨が進行するためにはtcとtaの両方が0.5 msより長い必要があることがわかった.研磨は各パルス時間が等しいときに効率的に進行し,tc=ta=2 msの条件で研磨速度が最大となった.表面観察の結果,研磨の初期段階で微小なピットが生成し,これらが成長・合体してマクロな凹面を形成することが示された.しかし,tcよりtaが短いと表面が鋭角的に荒れたことから,水素によるNb基板の機械的損傷が示唆された.このように,この研磨においては,tcとtaとのバランスが重要である.