材料と環境
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論文
AE法を用いた鋼管の腐食深さ評価手法の開発
栗原 卓哉松尾 卓摩鴻野 太郎沼田 香織
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2021 年 70 巻 2 号 p. 40-46

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抄録

水道水やガスの輸送に使用される鋼管は腐食により漏えいする可能性がある.そのため,鋼管の状態をモニタリングすることは非常に重要である.本研究では,アコースティック・エミッション(AE)法を用いて,より簡便に鋼管の腐食減肉量の検査およびモニタリング方法を開発するために,AEと減肉量の関連性を評価した.始めに腐食減肉量の異なる鋼管を設置し,1か月間のAEモニタリングを実施した.腐食減肉量は腐食の破壊によって発生したAE信号のLモードとFモードのウェーブレット係数の強度比(ウェーブレット係数強度比)を用いて評価した.腐食減肉量の増加に伴ってAEモード比が変化し,相関が見られた.この結果からAEモニタリング結果を用いて腐食減肉量を評価できることを示した.次に,熱サイクルを鋼管の腐食箇所に付与し,AE信号を約1時間モニタリングした.錆の破壊により発生したAE信号のウェーブレット係数強度比は長期モニタリングでの結果と同じく,腐食深さによって変化が見られた.よって,熱サイクルを付与することで,短期間のAE測定で腐食減肉量を評価することが出来る.

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© 2021 公益社団法人 腐食防食学会
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