液体アンモニアタンクに適用した表層軟質クラッド鋼板の長期の耐液体アンモニアSCC性を把握することを目的に,開放検査結果を解析した結果,以下のことが判明した.
①29年使用したTS610 MPa級表層軟質クラッド鋼板適用タンク2基のうち,1基には割れの発生がなく,もう1基も累積6件の割れの発生に留まった.割れ発生件数は,従来のTS610 MPa級鋼板に対して顕著に少なく,表層軟質クラッド鋼板の長期の耐液体アンモニアSCC性能を確認できた.
②表層軟質クラッド鋼板に発生した割れ箇所は溶接部(ノズル溶接部,治具溶接跡,突合せ溶接部)のみに限られ,この現象は液体アンモニアタンクへの適用・運用実績があるSLA325と同様であった.