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蒸気タービン模擬環境下における不純物濃縮挙動と材料の腐食特性
鳥居 広康梅村 文夫
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2004 年 53 巻 3 号 p. 136-142

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抄録

火力発電プラントの低圧タービンに使用されるロータ材や動翼材の腐食特性を, 水蒸気の凝縮過程を再現する凝縮水水質試験装置, 乾湿繰り返し定歪み試験装置および低サイクル疲労試験装置にて評価した. 凝縮水水質試験装置により, 蒸気中に含まれるナトリウム, 硫酸, 塩化物などの不純物イオンは初期凝縮過程 (蒸気が水に凝縮する初期段階) において選択的に濃縮することを確認した. 本試験から得た蒸気中不純物濃度と初期凝縮水中不純物濃度の実験式より, 実機プラント相当環境では最大50ppb程度まで濃縮することが示唆された. ロータ材の低サイクル疲労特性と不純物濃度の関係については, 不純物濃度上昇とともに疲労寿命が低下する一方, 不純物イオンの種類による差異やイオン混合による重畳効果は見られなかった. また不純物イオンは溶存酸素に比べ材料の低サイクル疲労寿命低下に大きく寄与することが確認された. ロータ材の定歪み試験において, 乾湿くり返し, 空気接触により材料の割れ感受性が増加した. これは不純物イオンの隙間部への濃化と関連付けられ, 塩化物イオンで最も顕著であった.

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© 社団法人腐食防食協会
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