日本教科教育学会誌
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体育科教育で扱う「知」およびその発達 : 教育生理学II
乾 信之
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1985 年 10 巻 3-4 号 p. 99-106

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抄録
現代の高度情報化社会における教科教育学にとって急務なことは,教育内容の精選にあると考えられる。この観点に立てば,学校体育は「知的」体育と捉えるべきであり,その際の「知」の内容は前頭連合野の機能に係わる「行動的文脈に依存した情報処理能力」,「行動のプログラミング能力」および「動作目標の形成能力」とみなされる。小脳の系統発生から人間の運動機能の発達をみると,姿勢の制御→修正系による運動制御→行動および運動のプログラムに依存した運動制御と捉えられる。姿勢の制御および修正系による運動制御は基本的な運動パターンの形成に関与し,4,5歳頃から発達しはじめて小学校低学年頃までにほぼ成人の域に達する。行動および運動プログラムに依存した運動制御は9,10歳頃から発達しはじめる。したがって,小学校高学年からボール・ゲーム教材では系列的な情報処理能力を促進する教授-学習活動が望まれる。
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© 1985 日本教科教育学会
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