日本教科教育学会誌
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食品重量判別能力に関する研究(第3報) : 食品重量判別能力の心理的特性について
太田 昌子
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1992 年 15 巻 3 号 p. 95-102

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抄録
本報では,食品重量判別における心理特性を,(1)目分量の場合と手に持った場合との差異,及び(2)目分量の場合に重量推測の基準となった事物とその参考の程度,の2点より検討した。食品の重量推測テストの結果では,手に持った場合よりも目分量によった場合の方が好成績を示した。また成績のよいグループは,「たまごの重さ」のような具体的な既知の基準を手がかりとして判断している度合いが大きい傾向がみられた。これらの事実は,食品の重量判別は,手に持った実感に頼るよりも,日常の経験から得られた具体的な事物の重さを基準として判別することの方がより有利であることを示している。しかしまた,基準となるべき既知の事物が,食品の重量推測の際に必ずしも有効に働いていない事実も認められた。食品の重量判別能力を高めるためには,これらの知見を参考にして指導に当たるべきと考える。
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© 1992 日本教科教育学会
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