日本教科教育学会誌
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数学学習における構造的思考の発達に関する研究
齋藤 昇
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1995 年 18 巻 2 号 p. 33-39

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抄録
本研究は,数学の学習において,生徒が学習内容をどの程度構造的に思考し理解しているか,また同一教材であっても学年によってどの程度の差があるかを数量的に明らかにした。実験は中学生,高校生,大学生を被験者とし,TCM法を用いて行った。構造的理解の度合いを表す伝達係数を用いて生徒が描いたコンセプトマップを分析したところ,つぎの結果が得られた。(1)当該学年で学ぶ新しい学習内容については,中学生,高校生,大学生とも平均伝達係数の値はほとんど同じである。(2)同一教材内容に対する平均伝達係数の値は,中学生と大学生,高校生と大学生を比べると,大学生の方が中学生よりも約0.09,高校生よりも約0.06大きい。(3)学習内容を構造的に理解している生徒は,理解していない生徒に比べると,平均伝達係数の値が約0.43大きい。
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© 1995 日本教科教育学会
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