抄録
現在の子どもの食事環境が変化し,自分で日常生活での栄養バランスの取れた食事を整える能力を必要とするようになった。これまでの家庭科では,食品を適量組み合わせて調理する過程を経る献立学習によりそのような能力を育成してきたが問題が生じてきている。そこで,子どもの食事の実態と発達段階に適合した方法で食事の栄養バランスを判断できる能力を育成する「料理‐栄養」学習を構想した。本学習は,日常生活で経験する料理一皿(椀)の概念に注目して,主食,主菜,副菜,汁物を揃えて食事を整える食構成を媒介として栄養の概量を認知させる内容から成る。中学生を対象とし,コンピュータを活用して一皿単位の料理の栄養価を栄養所要量に対する充足率で認知させ,料理の栄養価から食事の栄養バランスを評価する方法を取る。